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旅行業

営業保証金と弁済業務保証金分担金について

旅行会社の法務アドバイザー、谷内田です。

旅行業の登録をするためには、営業保証金もしくは弁済業務保証金分担金という、担保金を支払わなければなりません。
今回は、これらの保証金について解説していきます。

営業保証金と弁済業務保証金分担金

旅行業の登録の中でも、第1種、第2種、第3種、地域限定の登録を受けようとする場合には、基準資産額の他に営業保証金の支払いが求められています。
支払わなければいけない金額は、それぞれどの種別で登録するかにより異なります。

保証金・分担金の制度趣旨

営業保証金は、万が一旅行会社が倒産をしてしまった場合に、その旅行会社に旅行の申し込みをした一般消費者が保護されるように、旅行会社が国に金銭を預けて、その預けていたお金の中から旅行者が既に支払った旅行代金などを取り返すことができる制度です。
弁済業務保証金分担金も、同様の制度趣旨です。
それでは、営業保証金と弁済業務保証金分担金の違いはどこにあるのでしょうか。

営業保証金

営業保証金は、旅行業法によって旅行業者が支払うことを義務付けられているものです。
第1種、第2種、第3種、地域限定旅行業の種類ごとに最低金額が定められています。

どこに納めるのか

営業保証金は、旅行業の登録申請をする際に「主たる営業所」、つまり旅行業務を取り扱うメインの事務所を設定するのですが、この主たる事務所の最寄りの供託所に「供託」することで行わなければいけません。
供託とは、ざっくり説明すると、「金銭や物品などを預けて保管してもらうこと」です。
供託所は、法務局の中でも供託事務を取り扱うことができる場所で、例えば東京23区の場合は東京都千代田区九段にある東京法務局が「管轄(事務を取り扱う担当場所)」となります。
東京23区内には法務局の出張所がありますが、この出張所では供託事務を取り扱っていないため、東京法務局まで行くことになります。

どのように納めるのか

供託は、供託所の窓口まで行って申請書を提出するほかにも、郵送オンラインで申請することができます。
供託金の納付は、現金の他に国債や地方債で供託することもできます。
現金以外で納付する場合には、証券の額面通りの金額で供託できない場合もあるので、注意が必要です。
現金の受入事務を取り扱っている供託所の場合は現金による納付が可能ですが、そうではない供託所に供託をする場合、日本銀行やその代理店に納付する必要があります。

弁済業務保証金分担金

弁済業務保証金分担金は、旅行業協会に加入した旅行業者が営業保証金の代わりに納付する金銭のことです。
旅行業協会は、協会に加入する旅行業者に代わって弁済業務保証金を供託します。
この旅行業協会が供託する弁済業務保証金を分担するので、弁済業務保証金分担金という名前になっています。
この分担金は、旅行業協会に加入しない旅行業者が供託所に供託する営業保証金の金額の5分の1の金額を納付すればよいことになっています。

どこに納めるのか

分担金は、旅行業者が加入している旅行業協会宛に納付します。
旅行業協会は現在
①日本旅行業協会(JATA)
②全国旅行業協会(ANTA)
の2団体があります。
どちらの協会に所属しても、納めるべき分担金の金額は変わりません。

どのように納めるのか

各協会が指定する銀行口座に振り込みをする方法で、納付します。
保証金の場合は金銭以外にも国債等で供託ができましたが、保証金の場合は金銭で振り込む方法でのみ、納付することができます。

保証金・分担金の追加納付と還付

保証金・分担金は一度納付したら終わりということではありません。
毎年、会社の事業年度が終了した後、旅行者との取扱高について報告することになっています。
この旅行者との取扱高によって、保証金・分担金の金額が決定します。
例えば第3種旅行業者の保証金は年間取扱高が2億円未満の場合300万円(分担金は60万円)ですが、2億円以上になると450万円(90万円)の保証金・分担金を納付しなければなりません。
初年度300万円の保証金を納付していた旅行業者の売り上げが好調で、取扱高が2億円を超えた場合、翌年は450万円の保証金を納付しなければなりませんので、450万と300万の差額である150万円を追加で納付する必要があります。

逆に、前年度450万円の保証金を納付していた第3種旅行業者が、業績が芳しくなく売上が2億円を切ってしまったという場合、翌年度の保証金額は300万円になりますので、差額の150万円を取り返すことができます。

また、旅行業協会を抜ける場合や旅行業の登録を廃止する場合にも、保証金や分担金を取り戻すことができます。
旅行業協会を抜ける場合で、所属する旅行業協会を変更する場合は新しい旅行業協会に分担金を納付してから、取り戻し手続を行います。
同じように旅行業は続けるけれども旅行業協会だけ抜ける場合には、供託所に保証金を供託してから、分担金の取り戻し手続を行います。

まとめ

保証金や分担金を納めることは旅行業者の義務となっており、適切な額の保証金等を納付しない場合、処罰の対象となります。
旅行業の登録後、あるいは事業年度終了後の営業取引額報告をして保証金や分担金の納付金額が増加した場合、一定の期間以内に納付をしないと、これも処罰の対象となります。
消費者保護のために必要不可欠な制度ですので、よく手続きを理解して漏れなく行っていくことが大事です。

旅行業の登録手続きについてご検討中の方は、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

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