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旅行業

ランドオペレーターの登録制度-旅行サービス手配業

旅行会社の法務アドバイザー、谷内田です。

2018年1月の旅行業法改正により、ランドオペレーターの登録制度が導入されました。
それまでは、旅行会社からの依頼を受けて下請け的に手配を行う場合には特別な許可や登録の手続きは必要ありませんでしたが、今年の1月からは一定のランドオペレーター業者については登録をしなければ営業してはいけないことになっています。
この記事では、ランドオペレーターの登録制度について解説していきます。

ランドオペレーター登録制度導入の趣旨

2016年の1月に、軽井沢の国道を走行中のスキーツアーバスがカードレールを突き破り、道路脇に転落するという事故が発生しました。
この事故では乗員乗客41名中15名が亡くなり、亡くなった乗客全員が大学生で、近年稀にみる痛ましい事故でした。
この事故の原因調査の中で浮かび上がってきたのが、いわゆるランドオペレーターという存在です。
軽井沢スキーバス事故
本事故では旅行業登録を行っている4つの旅行会社と、1つの貸し切りバス会社が出てきます。
この中でも、トラベルスタンドジャパンという会社は東京都の旅行業登録をしていましたが、実態としてはキースツアー社からの依頼を受けてバス会社を手配したオペレーターであり、当時の法制度では、旅行業の登録をしていたとしても、オペレーター業務に対する何らかの罰則規定というものは存在しませんでした。
ですので、本事故に関わった4つの旅行会社と1つのバス会社のうち、トラベルスタンドジャパン社のみが処分を受けませんでした。
本事故ではたまたまトラベルスタンドジャパン社が旅行業の登録をしていたため、実態調査として東京都等が立ち入り調査をすることができましたが、仮に同社が旅行業の登録をしていなかった場合、事実関係の調査には時間を要した可能性もあります。
このような経緯から、ランドオペレーターに対する何らかの規制をする必要性が議論をされて、2018年1月の法改正でオペレーターへの登録制度が導入されることになりました。

ランドオペレーターとは

旅行業法上、ランドオペレーター業務は「旅行サービス手配業」と呼ばれています。
そして、この旅行サービス手配業は旅行業法上、旅行会社のために、バス等運送機関や宿泊施設、有償ガイド、免税店を手配する行為であると定義されています。
ここで有償ガイドと免税店も含まれているのは、お土産等を不当に高額な値段で販売させる店舗へ外国人観光客を連れていき、店舗側からキックバックを受け取るという行為が頻発し、こういった行為に苦情が相次いだため、その対策として含まれました。
旅行業とは違い、旅行者のためにではなく、旅行会社のために手配をするのが特徴です。
旅行会社であれば、国内旅行会社・海外旅行会社は関係ありません。
また、手配の対象は国内のサービスに関する手配であり、海外の運送機関や宿泊施設等だけを手配する場合は、登録は不要です。
旅行業と違い、一度登録をすれば更新手続きもありません。

旅行サービス手配業の登録に必要な条件

資格者

旅行業の登録と同じように、各営業所に資格者を設置する必要があります。
旅行サービス手配業務取扱管理者といって、旅行業協会が実施をする一定の研修を修了した人が、この管理者になることができます。
また、旅行業務取扱管理者試験に合格した総合・国内管理者を設置することでも問題ありません。
地域限定旅行業務取扱管理者は、前述した旅行業協会が実施する研修を修了するか、総合・国内管理者の試験に受かる必要があります。

旅行業と同じように、各営業所に1人以上の選任が必要で、他の営業所との兼任はできません。

欠格要件

旅行業と同じような欠格要件があります。
登録をする会社の役員や旅行サービス手配業務取扱管理者がこの欠格要件に当てはまっていないことが求められます。

資産要件

旅行業とは違い、保証金や基準資産額といったお金に関する条件は不要です。
ただし、登録をする際に各登録先に手数料を納める必要があります。
手数料の金額は登録先によって異なりますが、東京都の場合は1万5千円です。

旅行サービス手配業者の義務

旅行サービス手配業者は、契約を締結する際には必ず書面を発行しなければいけません。書面の代わりに、メールやデータなどで交付することもできます。
また、業務を行う営業所にそれぞれ、旅行サービス手配業務取扱管理者を設置する必要があります。
複数営業所での兼任は禁止で、大規模な営業所(10人以上)には2人以上の管理者が必要です。
さらに、旅行サービス手配業務取扱管理者の業務上必要な知識や能力の向上を図るために、研修期間が行う業務研修に5年に1度管理者を参加させなければいけません。

まとめ

旅行サービス手配業ついては、下記のとおりです。

業務範囲:国内の運送・宿泊機関と有償ガイド・免税店の手配
依頼元:旅行会社からの依頼
人的要件:旅行サービス手配業務取扱管理者の設置
欠格要件:あり
資産要件:なし(※登録手数料あり)
保証金:なし
更新手続:なし

無登録でオペレーター業務を行うと100万円以下の罰金・1年以下の懲役という罰則があります。
それだけでなく、その後5年間はオペレーターや旅行業者としての登録もできなくなってしまいます。
オペレーターの登録手続きについては、ぜひ専門家にご相談ください。
日常業務の中で、あるいは開業準備の中でお時間を取るのが難しい方のために、積極的にサポートさせていただきます。

まずは下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

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